第34話 ※

「あ……」

 小さく漏らした俺の不安そうな声が聞こえたのか、春樹は優しく笑う。

「大丈夫。楽にしてあげるから」

 そして、一気に俺の下着を下げて足から脱ぎ去ってしまった。

「んぅ……ん……」

 抑えられる苦しさからは開放されたものの、恥ずかしさはさらに増してくる。
 それなのに、それを煽る様に陽愛くんの指がまた俺の胸へと移動した。

「もう、苦しくないよね」
「んっ……っあ……」

 忘れていた胸への刺激に、俺自身の疼きが強くなる。しかも、今は隠すものもなく完全に晒されているのだ。

「雪ちゃん、胸気持ちいいんだ? ここ、どんどん溢れてくるよ」

 そんな春樹の言葉とともに俺自身に熱い舌が触れてきた。

「んあぁ!」

 くすぐる様に舌で舐められ、声を抑えることも出来ずに大きく身体が跳ねた。

「ほら、雪ちゃん……力抜いて」
「何も考えなければ気持ちよくなれるから」

 言いながらオキと涼介がそれぞれ俺の手を取り、そこへと唇を寄せてくる。
 そんなこと言われても……みんなからこんなことされて、何も考えずにいられるわけない。
 陽愛くんに胸を触られるのも、春樹に自身を舐められているのも恥ずかし過ぎて身体が強張らずにはいられない。

「……っん!……っは、あ……」

 びくびくと腿の内側が痙攣するのが自分でわかる。
 でも、ここで抗うのを止めたら、もう引き返せない……。
 閉じることも出来ずに荒く呼吸を繰り返していると、その表情を見ていたらしい涼介がオキへと声をかける。

「あんまり時間かけると、雪乃くんの体力もたなそうじゃね?」
「確かに。四人相手ですからね」

 何だか恐ろしいことをサラッと言ったかと思うと、オキの身体が俺から離れていった。
 そして、すぐに戻ってきたオキの手には何かが握られていた。

「オイル。初めてならキツイだろうし」
「じゃあ、僕がやる」

 そう言うなり陽愛くんは身体を起こしてオキからオイルを受け取る。

「春ちゃん、いったんストップ。雪くんの身体の向き変えたい」

 陽愛くんの指示で春樹の口が俺自身から離れ、強すぎる快感から開放された俺はホッとしたようなじれったいような不思議な感覚に襲われる。

「じゃあ、ハル、雪乃くんの身体支えてて」
「はーい。おいで、雪ちゃん」

 両手を広げて待つ春樹の腕の中へと俺を預けると、涼介も一度その場を離れていく。
 抵抗することも出来ずに、抱きつかれた春樹に俺がおとなしく頭を撫でられながら待っていると、戻ってきた涼介はタオルを何枚か持ってきていた。

「さすがに周りを汚したら、理事長の借り物で悪いしさ」

 細かいことに気がつく涼介により、そのタオルが俺の身体の下へと引かれて、即席の布団みたいになった。
 そして、その上に俺は横向きに転がされ、打ち合わせをしたわけでもないだろうに、みんながそれぞれの位置へと移動していく。
 俺の腰辺りは春樹に膝枕されるように少し高い位置にされ、その春樹の向かい側から涼介に足を押さえるように固定された。
 下半身が少し持ち上げられているため、そのままだと床へとぶつけそうな顔はオキが俺の上半身を膝枕してくれているおかげで無事だが……いつの間にかみんなも服を脱ぎ捨てていたようで、興奮したオキ自 身が目の前にあるのが、恥ずかしくて直視出来ない。
 見ないようにオキの腰辺りに抱きついて顔を埋めると、熱いオキ自身が俺の鎖骨や胸辺りに押し付けられて、それはそれで恥ずかしかった。
 腰の辺りには熱い春樹自身が触れているし、きっと陽愛くんや涼介も似たようなものなんだろう。
 だが、そんなことを恥ずかしがっている場合ではない状況が俺の身体に迫ってきていた。

「最初、少し冷たいかも……我慢して」

 足元の方で陽愛くんがそんなことを言ったかと思うと、俺が何のことだか理解する前に、思わぬところに冷たい液体を垂らされた。

「な……にっ……?」

 冷たさを我慢するとかそれ以前の問題で、そんな自分でも見たことないような後ろに何かをされるなんて想像もしていなかった。

「ちゃんとしないと、初めてで辛いからね」

 言いながら陽愛くんの指で縁を撫でられ、身体が震える。

「や……やだ、あっ……」

 撫でたり押したりを繰り返され、その慣れない気持ち悪さに俺の目にはまた涙が溜まってくる。
 それでも、陽愛くんの手は止まらない。

「涼。これ、垂らして」

 そう言うと自由になった両手で入り口を広げるようにされた。
 そして、そこに涼介の手によって新たなオイルが垂らされる。

「ふぁ……あ……や、やだってば……!」

 陽愛くんや涼介……それにきっと春樹にも位置的に俺のそこがどうなっているか見られているはずだ。
 そう思うと恥ずかしくて我慢できない。
 それなのに、中まで垂らされたオイルの力を借りて陽愛くんが俺の中へとゆっくり指を埋めてきた。

「……っ……!」

 異様な感覚に俺の身体が硬直したが、陽愛くんの指は止まることなく入ってきて、その指をくっと中で曲げられた。
 咄嗟にその指を締め付けてしまい、何だかわからない恐怖に俺の涙も限界だった。

「うっ……ふぅ……やぁ……」
「大丈夫。慣らさないと雪ちゃんが辛いんだよ」

 優しく宥めながらオキが俺の頭をずっと撫でてくれるが、それでも俺の恐怖はなくならない。
 力を抜いたら、次にそこがどうなるか想像出来なくて怖い。

「……仕方ないな」

 小さくオキが呟いたかと思うと、俺を撫でていた手はそのままで空いた方の手を伸ばし俺の乳首をキュッと摘んだ。

「ぁ……ああっ……」

 そのまま、そこを弄られて今まで後ろに集中していた俺の意識が散らされる。
 胸で感じる気持ちよさと、後ろに与えられる慣れない感覚がごちゃ混ぜになって俺の身体を襲う。
 しばらく、それを続けられ喘ぐのも疲れてきたころ、陽愛くんが嬉しそうに言った。

「雪くんのここ……だいぶ柔らかくなってきた。もう三本入れても平気だし」

 いつの間にかオイルも指も増やされていたようで、陽愛くんが指を動かすたびにそこから耳を塞ぎたくなるような湿った音が聞こえる。