第36話 ※

 動くに動けずに俺が固まっていると、春樹がいきなり俺の身体を抱き起こした。

「はい、雪ちゃん。身体の向き変えて~」

 そして、そのままタオルの上へと押し倒すように俺の身体を仰向けにしてしまった。
 俺が驚いていると、上から陽愛くんに顔を覗きこまれた。

「気持ちよかった……ありがとな、雪くん」

 そう言ってチュッと唇にキスをされると、さっきまで陽愛くんと繋がっていたことを実感して恥ずかしい。
 いや、俺何もしてないし、お礼を言われるようなことじゃ……それよりも、何か普段は見れない姿の陽愛くんがかっこいいというか……。

「ちょっとぉ、雪ちゃん!」
「へ……?」

 陽愛くんの姿に俺が照れまくっていると、春樹が怒ったように俺の名前を呼ぶ。

「山ちゃんばっかりにメロメロになんないでよ! 俺だって、雪ちゃんのこと気持ちよくさせてあげられるんだからね」

 相変わらず唐突な春樹の発言に俺が呆れかけていると、いきなり足を大きく開いて抱え上げられた。

「お、おいっ!」

 慌てて抗議しようとした俺の言葉は、やっぱり唐突な春樹の行動によって遮られた。

「あっ、んああっ!」

 いきなり、最初から春樹自身に奥を貫かれて俺の口からは大きな声が出てしまった。
 陽愛くんので少し慣れたせいかそんなに痛みはなかったが、奥を突かれる衝撃はハンパない。

「山ちゃんのが残ってたから、楽に入ったね」

 深い所で動きを止めた春樹が嬉しそうにそう言うと、何も言えずにいる俺の代わりにオキと涼介が抗議した。

「お前、何勝手に入れてんだよ」
「え~、年の順?」
「そんなの決めてないだろ。それに、いきなりなんて……雪乃くんが可哀相だろ」

 涼介が俺を労わるように春樹へと文句を言うが、春樹は笑って答える。

「え~……そうでもないみたいだよ。雪ちゃんのここ、俺のにきゅうきゅう絡みついてくる」

 無意識の行動を指摘され、恥ずかしさで顔が熱くなる。

「いまさら抜かれたら……嫌だよね?」

 でたっ、悪い顔!
 俺が答えられないってわかっていて聞いてくるんだから、こいつも意地悪だ。
 そう思うのに、聞きながらより奥を抉るように腰を動かされると頭が真っ白になって何も考えられなくなる。
 そんな俺の様子に抗議をしていた二人も諦めたようで小さくため息を吐いた。

「仕方ないな」
「あんまり雪ちゃん苛めると、山ちゃんが怒るからね」
「わかってるって。苛めてないもんね~、雪ちゃん?」

 十分、苛められてるよ!
 出来ることならそう叫びたいが、今口を開いたら変な声が出そうで怖い。
 それなのに、俺の葛藤に気づかない春樹が不思議そうに聞いてきた。

「ん? どしたの? 雪ちゃん。そんなに強く口閉じて……」

 そう言って春樹が上半身を倒して俺の顔を覗きこんできた瞬間、中にいる春樹自身の角度が変わった。

「んっ……あぁん!」

 どこのAV女優だよって言いたくなるくらいに甘ったるい声が俺の口から飛び出した。
 しまったと慌てて両手で口を抑えてみたが、もう遅い。
 ニヤニヤと悪そうに笑う(俺にはそう見える)四人が俺の周りへと近寄ってくる。

「雪くん、だいぶ慣れてきたな」

 まるで生徒を褒めるかのように陽愛くんがそう言って、俺の頭を膝枕して撫でてくれるが全然喜べない。

「すごく可愛い……雪乃くん」

 俺の手を取り、その甲に口づけながら年下の涼介にそう囁かれても嬉しくない。俺としては可愛いよりもカッコイイの方がいいもん。

「そのまま、素直に感じてくださいね」

 低い声で囁きながらオキに俺自身を握られ、身体が震える。
 なんで、そんなに可愛い容姿してるくせに時おり、ものすごく男らしいわけ?
 そして、春樹がしっかりと俺の腰を抱え直すと笑顔で俺へと口づけた。

「雪ちゃん、大好き♪」

 唇を離した春樹がそう言ったかと思うと、いきなり腰を使い始めた。

「んあっ、あっ、ああ」

 最初から思いっきり攻めたてられて、俺はもう声を抑えることなんて出来なかった。
 しかも、春樹の動きに合わせてオキが俺自身を攻めるものだから、身体中が心臓になったかのようにドキドキとして、何も考えられない。

「はぁ……あ、もっ……無理……やぁ」

 中と前を擦られ続けて、だんだんと押し寄せる絶頂の波に、俺は泣いて限界を訴える。
 すると、陽愛くんは俺が暴れて頭を床へ打ちつけないように支えてくれて、涼介は俺が安心出来るように強く手を握ってくれた。

「雪、ちゃん……限界?」

 息を詰めながら春樹に聞かれ、俺は泣きながら何度も頷いた。
 これ以上続けられたら……もうどうにかなりそう。

「俺も……だから雪ちゃん……本気出すからね」
「我慢しないで、力抜いて」

 そう言うと春樹もオキも、ラストスパートへと向かって動きをより激しくする。

「ふぁ、ああっ、あ、あっ」

 もう力が入っているのか抜けているのかなんて、全く気にしていられない。
 とにかく、身体の中の熱をなんとかしたい……ただそれだけだった。

「ゆ、きちゃん……いくよ」

 熱い声で春樹に言われ頷くと、身体の奥で春樹自身がぐっと大きくなったのを感じた。
 それと同時にオキの指が俺の先端部分の弱い所へと爪を立てた。

「んあっ、あああっ!」

 目の前が真っ白になって、俺は春樹とほぼ一緒にイクと、そのまま意識を手放してしまった。