妹から兄へ

 私がいなくなってから二年が経つ。
 その間に、色々なものが変化していく。
 世の中の情勢だったり、人々の心の変化だったり
 それは良いものもあれば、悪いものもある。
 変わらないものは私だけ……。

 でも、お兄様は気づいてる?
 私が亡くなった二年前から、お兄様は本心で笑うことをしなくなった。
 そして、そんなお兄様の姿に胸を痛めている瑠偉斗がいる……。

 たまに訪れるここでお二人を見ているうちに、私は気づいてしまった。
 瑠偉斗の気持ちがすでに私にはないことに。
 今の瑠偉斗の心には、私ではなくお兄様がいる。

 ……やっぱり私も変わってしまったのかしら。
 昔は、お兄様も瑠偉斗も大好きだった。
 三人で一緒にいられることが、とても楽しくて幸せで……

 でも今、私はそこにいない……。
 瑠偉斗が私以外の人に想いを寄せているのが悲しくて
 お兄様が瑠偉斗の心に入り込んだことが悔しくて

 お兄様と瑠偉斗は私にとって、大好きで、とても大切な人
 そんなお二人に、こんな醜い感情を持ちたくはないのに。

 私はただ、お二人に
 幸せになって欲しい
 それだけを願っているはずなのに……。