小説

先生達の秘密の授業

第6話

「学園祭の企画か~……どうしよう」 先生達が会議室から去っていく姿を見送りながら、俺は呟いた。 今年、初めてクラス担任を受け持った俺は、今までに学園祭の企画提案という経験がない。 だが、近藤先生があれだけ気合をいれているのに、全てを生徒任せというわけにもいかないだろう。
先生達の秘密の授業

第5話

「良かった、間に合った~!」 そう言って机の方に来た春樹は息を乱して、まるで遅刻寸前で教室に駆け込む生徒かのように、まさに急いで来た感じだ。 春樹は大学時代にバンド活動をやっていたらしく、それに熱心になり過ぎて大学を一年留年するという特異な経歴を持つ。
先生達の秘密の授業

第4話

 朝に弱い涼介がテンションは低めだが、そこまで機嫌が悪そうでもなかったので漏らした言葉だったのだが、これが自ら地雷を踏んだことに気づいたのはその後だった。 「だって朝から近藤先生のモーニングコールもらっちゃったら、起きないわけにいかないでしょ」
rainy day

降り続ける雨

三人が心から笑い一緒にいられることを幸せと感じていたあの頃に戻れたら ――。 そう願いつつも過ぎた時間は戻らないことを自覚してしまった想いは止められないことを彼らは知っていた。 そんな彼らの本心を覆い隠すように、今日も雨は雷とともに降り続ける。
rainy day

妹から兄へ

私がいなくなってから二年が経つ。 その間に、色々なものが変化していく。 世の中の情勢だったり、人々の心の変化だったり  それは良いものもあれば、悪いものもある。 変わらないものは私だけ……。  でも、お兄様は気づいてる?
先生達の秘密の授業

第3話 ~雪乃視点~

「土方先生、おはようございます!」「おはよう」 職員用の駐車場へと車を停めて、すれ違う生徒達と挨拶を交わしつつ俺、土方雪乃は高等部校舎にある職員室へと向かう。 ここは俺の職場でもある私立誠陵學校。中等部から大学部まで抱え、私立としては独特の教育方針が有名な学校だ。
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見守る者

決して、交わることの許されない、主と執事の想い ――。 そんな二人を屋敷の外から人知れず見守る存在・茉莉亜。 彼女は奨悟の双子の妹であり、かつて瑠偉斗の恋人でもあった少女である。 だが、二年前に命を落とした彼女はすでにこの世には存在しない。
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執事から元恋人へ

 奨悟様の身体を綺麗にしてから自室に戻った私は、ずっと伏せてあった貴女の写真を手に取った。そこには、私がさっきまで抱いていた人と同じ顔の貴女が笑顔で私と並んでいる。 『僕を抱け』 突然の主人の言葉に、私は言葉が出て来なかった。
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主から執事へ

「僕を抱け」 驚いている瑠偉斗の表情が、雨の打ちつける窓に映る。外では、雷を伴った大雨が今日も降り続けている。「これは命令だ」 こう言えば、瑠偉斗が断れないとわかっていて言っているのだから、僕は卑怯だ。 でも、こうでもしないと僕はお前に償うことが出来ない。
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成宮家の主と執事

成宮家 ――。 それはいくつもの大手企業を持つ、知らぬ者がいないほど有名な名家。 現在、そこの当主を務めるのは弱冠16才のまだ幼さを残す少年・成宮奨悟だった。 今現在、彼に家族はおらず、屋敷内には数人の使用人。