先生達の秘密の授業

先生達の秘密の授業

第7話

「どうですか~? 藤堂先生。企画決まった?」 授業を終えて職員室へと戻ってきた春樹に聞くと、春樹が苦笑いで答えた。「これといったものは……まだ」「だよね~」 まあ、予想していた答えに俺もため息を吐いた。 「あげくには龍臣が『俺達がユニット組んでライヴやる!』とか言い出すし……」
先生達の秘密の授業

第6話

「学園祭の企画か~……どうしよう」 先生達が会議室から去っていく姿を見送りながら、俺は呟いた。 今年、初めてクラス担任を受け持った俺は、今までに学園祭の企画提案という経験がない。 だが、近藤先生があれだけ気合をいれているのに、全てを生徒任せというわけにもいかないだろう。
先生達の秘密の授業

第5話

「良かった、間に合った~!」 そう言って机の方に来た春樹は息を乱して、まるで遅刻寸前で教室に駆け込む生徒かのように、まさに急いで来た感じだ。 春樹は大学時代にバンド活動をやっていたらしく、それに熱心になり過ぎて大学を一年留年するという特異な経歴を持つ。
先生達の秘密の授業

第4話

 朝に弱い涼介がテンションは低めだが、そこまで機嫌が悪そうでもなかったので漏らした言葉だったのだが、これが自ら地雷を踏んだことに気づいたのはその後だった。 「だって朝から近藤先生のモーニングコールもらっちゃったら、起きないわけにいかないでしょ」
先生達の秘密の授業

第3話 ~雪乃視点~

「土方先生、おはようございます!」「おはよう」 職員用の駐車場へと車を停めて、すれ違う生徒達と挨拶を交わしつつ俺、土方雪乃は高等部校舎にある職員室へと向かう。 ここは俺の職場でもある私立誠陵學校。中等部から大学部まで抱え、私立としては独特の教育方針が有名な学校だ。
先生達の秘密の授業

第2話

みんながそれぞれ、ワイシャツの用意をしている中、そんなことには全く気づかずにラフな私服姿でバスに乗っている青年がいる。 何かと誠陵學校で人気の高いイケメン教師の中で一番年上の二十六歳で先輩……そして唯一、車の免許を持っていない美術担当の山南陽愛先生だ。
先生達の秘密の授業

第1話

「はーい、朝練はここまで!」  緑のジャージを着た青年がそう言って首に下げているホイッスルを鳴らすと、その場のみんなの動きが止まり、ボールの音も静かになる。 この青年は私立誠陵學校の保健体育担当・藤堂春樹先生、二十四歳。